中国人の検索パターンが3分で分かる15個の習慣と最新SNS検索
中国マーケティングを難しくする理由の1つに、国内でのインターネットメディアにおける競争が今でも熾烈で、日々勢力図が変化しているためである。本記事では、中国人の検索行動のクセを紐解くことで、中国人向けSEO対策におけるキーワード調査やペルソナ設計で役立てば幸いである。
検索はすでに80%以上の中国人ネットユーザーの生活に溶け込み、ユーザーの平均検索回数は少なくとも1日5回と言われている。何かを知りたければスマホを出して「百度してみよう」が習慣となり、中国人の情報源はもはや書籍ではなくサーチエンジンと言っても過言ではない。
中国人が検索する際の行動パターンや使用頻度、キーワードの使い方を調査した「中国人の検索行動白書」(Optimum Media Direction,OMD 2017)によると、15個の特徴が明らかになった。(調査方法:150名の中国人ユーザーに2週間の間で行った13,000回以上の検索行為を調査)
1. 検索頻度は、毎日5回以上
2. 用途:生活に関わるちょっとした調べ物が検索の中心
例えば、交通経路の検索や食事のレシピ検索、天気など生活に関わる情報収集ツールとして使用している。サービスや商品に対する検索ボリュームは19%と意外と少ない。
3. 検索タイムは通勤時間、ランチタイム、午後一
4.検索する言葉の組み合わせは、世代によって変化。
若者やITを使いこなせる人は、名詞+スペース+名詞で検索する傾向が見られる。一方、30~40代以上のユーザーまたは検索エンジンの仕組みをよく知らない人は、文章のまま検索する。(例:銀座の美味しいレストランはどこ?)
5. 再検索は、「キーワードを増やす」「キーワードを減らす」「キーワードを変える」で対応
6. 検索順位順にクリックするユーザーは70%、ランダムにクリックするユーザーは30%
7. 検索連動型広告をクリックするのは30%
70%のユーザーは広告ではないオーガニック検索でクリックする。
8. ページの滞在時間は、30秒から60秒が最も多い
続いて1-2分、あるいは30秒以下のユーザーが多い。
9. 広告が多いページは離脱する傾向が最も高い
10.知らない分野は検索回数が増加
例えば、自動車に関する男女の検索回数を比較すると、男性:女性=5.8回:8.1回だった。化粧品の検索回数では、男性:女性=は6回:4.7回だった。
11. 欲しい情報を得るまで横断的に検索
ユーザーはできるだけ多くの情報を求めている。1ページ目だけを見る人はわずか10%で、より多く、正確な情報を求めるために、80%のユーザーは同時に複数の検索エンジンを使っているという。
12. 音声検索・画像検索の使用率は68%以上
特に、音声検索・画像検索をするユーザーは40代以降の傾向が強い。
13. 最新情報はSNSで検索
検索エンジンは、情報の更新頻度がSNSに比べて遅いため、ニュース性の情報やトレンド、事件については、SNSで検索する傾向が見られる。
14.パソコンとスマホを明確に使い分ける
スマホで検索するユーザーは52%、パソコンでは41%、タブレットでは7%。中国人は検索する時間帯、目的、視認性の観点から明確に使い分ける傾向にある。スマホが中心になっているからといって、パソコンを使わない訳ではない。
15.スマホは朝、晩を中心、パソコンは昼間に利用。
スマホでは利便性を求める。日常生活に関する問題や、手軽に解決したい問題は、スマホで検索するユーザーが多い。一方、パソコンは昼に活用する。仕事や勉強に関する、より詳細な調査や複雑なデータ、複数の情報が必要で、一度に閲覧できる情報量を多くしたい時は、パソコンで検索を行う。また、画像検索をするユーザーも、パソコンを使うことが多い傾向が見られる。
例えば、レシピはスマホで検索し、旅行の企画やリサーチはパソコンで検索する、という使い分けを行なっている。
中国の最新情報は百度よりもWeiboで検索
既存の情報・知識を探す百度のような検索エンジンに対して、リアルタイムのニュース探しや専門的知識・トレンドなど、決まった分野の情報の検索機能を強化した新型検索、ソーシャルメディア内蔵の検索エンジンが続々と出現している。
1. 微博搜索(Weibo Research)
中国最大のSNSブランドWeiboに搭載された検索機能。言わばTwitterのように、ユーザーがリアルタイムで発信する情報を簡単に検索することが出来る。特に最近は、百度ではなくWeibo検索をするユーザーが増えてきた。そして、Weiboはさらにサービスを拡大し、GPSデータに応じた生活情報・グルメ・名所スポットに関する情報も簡単に検索することが出来る。
特筆すべき点として、百度のような独立検索エンジンからWeiboの投稿情報を発見することは出来ない。検索エンジン、ソーシャルメディアという本来は別々の事業ドメインだった両者がライバルになり始め、互いの顧客基盤を共有することを拒絶しているためである。そのため、中国人向けにプロモーションをするにはどちらか一方を選択するのではなく両者をカバーする必要があり、コスト、人員的に業者泣かせな状況となっている。
2. 知乎搜索(Zhihu Research)
中国最大のオンライン知識コミュニティー。一般的なネット知恵袋とは異なり、知乎で回答をする人は、ほぼ各業界に一定の知見を持つ専門知識を持つプロであり、知識を共有するために作られたコミュニティーである。ユーザーはそこでさらに専門的な知識を検索することができ、論文ほど文体も堅くなく、読みやすくなっていることもユーザーに支持を得ている理由の1つである。
つまり、ユーザーが特定な知識について理解するだけではなくもっと具体的に、学術的に知りたいという時は、知乎で検索する。
3. 抖音搜索(TikTok Research)
日本でも大人気な動画投稿サイト抖音(TikTok)。ユーザーは主にネットのトレンド、流行や面白ネタについて検索する。知識・情報を求めるのではなく、トレンドを知るための検索ツールである。
トレンドのランキングが広告に
中国では、検索というアクションは常にプロモーションと連動している。百度プロモーションはまさにその良い例だが、微博热搜(Weibo Trend)という新型のプロモーションを紹介したい。
微博搜索(Weibo Research)は毎日、最も検索・討論されているキーワードをランキングにし、ユーザーたちに公開している。しかし現在では、このトレンドは広告スペースと化し、購入することが可能となっている。例えば自社の芸能ニュースを売り出したい事務所はこの「トレンド」を買い、トレンドランキングにランクインさせることが可能だ。日本では考えにくいことだが、中国のSNSコミュニティーでは、最も効果的なプロモーションの1つとなっている。
このように、中国のインターネット市場は非常に複雑で、日本の習慣とは異なる点が多い。中国マーケットに進出するには、今の中国を理解し、その進化に対応できるように、情報収集の流れや習慣を理解し、設計することが第一歩である。