SERPs(サープス)とは?最新のSEO対策と業界別動向データ
SERPs(サープス)とは?
SERPs(Search Engine Ranking Pages)とは、ユーザーの検索意図に基づき表示される検索エンジンの検索結果画面のことである。SERPsは主に自然検索、検索連動広告から構成され、ユーザーの検索目的に対し的確に回答をするアルゴリズム進化の表れである。
Googleが「Google が掲げる 10 の事実」の中で1番目に掲げているのは、ユーザーの利便性第一という考え方だ。そのため、Googleはユーザーの検索意図を汲み取って、出来るだけ速く、正確な答えを返すアルゴリズムを日々追求している。
今では考えられないことだが、検索エンジンが普及し始めた2000年初頭、他社の検索エンジンは検索結果が表示されるまでに随分と時間がかかった。しかし、Googleだけは一瞬で検索結果を出していたことを鮮明に記憶している。今後もこの方針が変わることはないだろう。
私たちウェブマーケティング担当者は、SEO対策における検索順位を追うだけでなく、近年変化を見せているSERPsの進化においても最善の結果が生まれるように動向を観察し、実践する必要がある。
なぜ、今、SERPsが重要なのか?
ウェブマーケティング担当者がSERPsの変化を直視しなければならない理由は3つある。
1.SERPsの実装化が急速に進んでいる
為替や天気予報のように質問すれば回答を返してくる機能が実装されたのは最近の話ではない。
ところがseoClarityの調査によると、2020年は1,200種類のSERPsが確認され、800種類であった2019年比較すると新たに400種類のSEPRsが確認された。
これはGoogleがこれまで以上に検索結果の表示方法の改善に取り組んでいることを意味している。ウェブサイトの運営側もその動向を観察し、対応する必要がある。
2. ウェブサイトへの集客に大きな貢献をする
検索したユーザーのうち、どのくらいの割合の人が1位のウェブサイトをクリックするのだろうか。このような調査は数多く見られるが、IGNITE VISIBITYによる調査(2020年)では、検索したユーザーの、43.32%が1位をクリックし、37.36%が2位を、29.90%が3位のウェブサイトへ遷移している。
検索順位 | クリック率 |
---|---|
1 | 43.32% |
2 | 37.36% |
3 | 29.90% |
4 | 19.38% |
5 | 10.95% |
6 | 10% |
7 | 5.28% |
8 | 4.13% |
9 | 4.13% |
10 | 3.11% |
これはユーザーが行う検索結果が、より多くの情報を多く含んだ検索表示へと変化することで、これまでのクリック率相場(1位:20〜30%)よりも高く算出されているのではないかと分析している。
3.音声検索対策に備える
日本に住んでいると、音声検索の動向にあまり気づかないかもしれない。
GlobalWebIndexの調査(2021年1月)によると、音声検索や音声で操作したことのあるインターネットユーザーは、世界平均で45.3%である。そのうち、日本は調査対象43カ国の中で、17.8%と最下位だ。
しかし、音声の会話を楽しむSNS、Clubhouse(クラブハウス)の急速な普及や近年の在宅ワークの環境の変化を鑑みると、日本においてどこかのタイミングで音声検索がポピュラーになる可能性を秘めていると筆者は考えている。
例えば、スマホのGoogleアシスタントを使って質問をしてみよう。
「3ヶ国語話せる人の割合は?」とスマホに話しかけたところ、Googleはこのように読み上げてくれた。
「ブルームストリート株式会社によると3ヶ国語以上話せる人の割合は世界で17%です。」
検索単語が最上位の情報ボックスの枠に採用されると、音声で読み上げてくれる。
音声検索が主流になり、耳で検索結果の情報を得るようになると、Googleアシスタントは情報ソースとして会社名を読み上げてくれることから音声を介して顧客の記憶に残っていく可能性がある。
SERPsの種類は?
「SERPsの実装化が急速に進んでいる」で紹介したように、1,000を超えるSERPsの種類が存在すると言われる中で、全体像を完全に把握することは不可能だ。
ここでは、その中でも目視が可能な、かつポピュラーで、ウェブマーケティング担当者がSEOツールを使って追跡出来る機能に絞って紹介をしたい。少し情報量が多くなるので、既に理解されている方は、「SERPsが積極的に実装されている業界を調査」へ飛んでいただければと思う。
1.強調スニペット
強調スニペットとは、Googleが検索結果を表示する上での1つの形式を示し、ここではウェブサイトの一部から「切り取られた(スニペット)」文章を特別に視覚的なインパクトを持って表示させた検索結果である。
強調スニペットで採用される条件として、ウェブサイトが最低でも10位以内に上位表示されていることが大前提だ。贅沢を言えば、3位以内にはランクインしたい。
検索結果ページの限られた面積の中で、ユーザーへの注目度を高め、ウェブサイトへの誘導を促すという点ではこの機能のビジネスへの貢献度はとても大きいと考えている。
パラグラフ型
テーブル型
リスト型
2. ローカルパック
ローカルパックは店舗ビジネスをしている事業者には欠かせないSERPsの1つだ。
「地名+行先」で検索した時に表示されやすい。地図に加えて、3つの店舗が表示されることことが、「パック」の由来である。以前はもっと多くの検索結果が表示されていたが、現在は3つに絞られている。
ローカルパックの情報源は、ウェブサイトではなくGoogleマイビジネスである。そのため、Googleマイビジネスに登録し、住所、電話番号、最新の営業時間、ウェブサイトリンク、商品・サービス等をくまなく記入していく必要がある。
3. ショッピング
2020年頃から、商品の自然検索版が運用されるようになり、Google広告として表示される
商品広告と両方表示されるようになった。これにより、必ずしもGoogle広告主でなくても無料で露出をすることが可能となる。
運営者はGoogle Marchant Centerに登録することで表示される権利を得る。
4. ナレッジパネル
ナレッジパネルとは、情報ボックスとして表示される検索結果のことである。情報源はウェブ上でGoogleが把握している内容に基づき、自動的に生成されるコンテンツである。表示された情報のオーナーである場合は、ナレッジパネル認証を行い、情報の編集が可能である。
5. トップストーリー
Googleニュースを情報源として、表示される検索結果である。トピックスによって提携している様々なニュースサイトからふさわしい記事を選択して提示する。
6.インスタントアンサー(その場で回答)
インスタントアンサーは、ウェブサイトに行くまでもない、ちょっとした事を調べたい時に表示される。為替、時刻、日付、旧元号、等様々だ。
7. Google広告上部・下部
これも馴染みのあるSERPsの1つ。検索結果の上部に表示される広告は最大で 4 件となっている。検索キーワードによっては下部にも表示されることがある。
8. 他のユーザーが行った質問
英語ではPeople also ask、略してPAAと呼ぶ機能である。まだ、日本語の検索結果の画面でPeople also askを見ることはあまりない。
似た機能に、「他のキーワード」という関連キーワードを表示する機能がある。本SERPsの特徴は、ドロップダウンのボタンをクリックすると端的な説明文が表示され、さらに読みたい場合はウェブサイトへ飛ぶ動線となっている。これも、クリック数を出来るだけ少なくしてワンクリックで目的地へ行きたいユーザーの意向に沿ったGoogleの施策である。
9.サイトリンク
サイトリンクとは、検索結果でウェブサイトの下部に表示されるリンクのことを指す。サイトリンクが表示されることで、ユーザーはワンクリックで興味のあるページへ飛ぶことが可能である。
10. 画像
Googleは以前からも画像検索は可能であったが、恐らくユーザーが検索する画面は一番左上のタブ(すべて)がほとんどで右のタブへ移って横断的に検索をするユーザーは限られていると判断しているのかもしれない。そのため、画像検索の結果も通常のウェブサイトと並列して表示されることもある。
11.ツイッター
会社の代表や自分の名前でエゴサーチをするとツイッターユーザーの画面が表示されるようになってきている。
12.レビュー
通常は、ウェブサイトのタイトル、説明文、そしてURLの3つがセットで表示されるが、ここでは4つ目として商品の評価が新たに追加され、ユーザーに商品の多面的な情報を提供している。
13. 動画
ウェブサイトの検索結果の中に動画が組みまれた例である。下の例では、重要なシーンが経過時間と共に分かるようになっており、YouTubeとの連携が綿密になってきている。
SERPsが積極的に実装されている業界を調査
これまで紹介した13種類のSERPsは、実際にどれくらいの割合で検索エンジンの検索結果画面に表示されているのかをジャンル別に調査(2021年4月)した。
米国版のデータとなり恐縮だが、2021年4月1日時点でのデータである。SERPsは常に米国で先行採用され、徐々に日本語対応が行われる。今後の日本における検索結果にどのように影響を及ぼしていくのか、見通しを立てる検討材料となるはずだ。
強調スニペットと相性の良いトピックス
数字の見方を説明しよう。上位20位の検索結果を25種類のトピックスに分類し、強調スニペットが表示された割合をグラフにした。100%であれば、どのキーワードを検索しても検索画面に必ず強調スニペットが表示され、0%であれば表示されないことを意味する。
強調スニペットが積極的に採用されている分野を順位別に追うと、自然科学、製薬、宗教・占い、コンピュータ、法律・行政と続く。
検索キーワードとしては、ちょっとした調べ物をしている検索行動に対し、強調スニペットとして回答を出していると推察される。
一方で、飲食、不動産、ショッピングの分野は強調スニペットがほとんど採用されていない。これは、次に紹介するローカルパックでの表示が好ましいとGoogleが判断しているためと思われる。
ローカルパックと相性の良いトピックス
ローカルパックと相性が良いのは、端的に言えば店舗ビジネスだ。アメリカで製薬の分野の検索と言えば、恐らく日本にコンビニのような位置付けのドラッグストアや病院だろう。美容は、美容院やネイルサロンのロケーションを探し、自動車・機械は、車社会のアメリカにおけるガソリンスタンドや駐車場、修理センターを探していると推察する。英語では、「目的場所+ near me 」といったように自分を中心に探す検索ワードがポピュラーだ。
日本なら、病院、飲食、不動産業界の担当者は漏れなくGoogleマイビジネスに登録してローカルパック対策を行うべきだ。
他のユーザーが行った質問(People also ask)と相性の良いトピックス
これは驚くべき数字が出た。以下の棒グラフの高さを見て欲しい。25分類のトピックスのうち14分類のトピックスが50%を超えている。これは2つに1つが他のユーザーが行った検索に、他のユーザーが行った質問(People also ask)が実装されていることを意味する。
しかも、まだ日本語ではあまり見られないことから2021年以降の予想出来る未来と言えるだろう。
この統計結果は、Googleが検索キーワードと検索結果の関連性をいかに重視しているかという重要な事実を示唆している。
ここは原点に返って、ユーザーの検索意図を出来るだけ理解するように努め、それに沿ったコンテンツ作りを行うことがGoogleの検索画面で露出を拡大できる必勝法である。
SERPs対応の検索キーワードを探す方法
では、どのようにSERPsが実装されているキーワードを探すことが出来るのだろうか。ここでは、海外で普及している2種類のSEOツールを使って、解説したい。
強調スニペットに対応したキーワードを探す
- 核となるキーワードを選定
- 関連キーワードをリストアップ
- SERPsの強調スニペットが掲載しているキーワードでフィルタリング
- 実際に検索画面でどのような強調スニペットが表示されているか目視
- 同キーワードで上位表示が出来るか、差し替わる強調スニペットを打ち出せるか判断
「スキンケア」関連のキーワードでSEO対策をするとしよう。
SEMRushのKeyword Magic Tool
海外SEOツール、SEMRushのKeyword Magic Toolを使って、「スキンケア」で関連キーワードを探すと、実に15,457種類のパターンが出力された。
「詳細設定」の中の「SERPの機能」から「強調スニペット」にチェックし、「適用」する。
すると、強調スニペットが実装された87種類のキーワードが出力された。
1番上の「酒さ スキンケア」は実装されていなかったので、上から2つ目の「スキンケア 手順」をGoogleで検索すると、確かに強調スニペットが実装されていることが確認出来た。
同じ作業を別のツールで行ってみよう。
ahrefsのKeywords Explorer
こちらも海外で非常に多く使われているSEOツールahrefsで同じキーワードでリストアップした。
すると、4,491種類のキーワードが出力された。数はSEMRushより少なかった。
そこから同じように「SERP Features」の「Featured Snippet」(強調スニペット)にチェックをいれ、「Apply」をクリックする。
すると、35種類の強調スニペットが実装されたキーワードが絞られてリストアップされた。
一番上の「スキンケア 基本」でGoogle検索をすると、確かに強調スニペットが存在することが確認出来た。
このように、SEOツールによって出力されるキーワードの数は異なるものの、SERPs対応のキーワードをあらかじめ探し、それらの上位表示の最大化を狙うことが可能だ。
SERPs対策の実装方法
では、どのように検索結果画面で目立たせる為の施策(SERPs対策)を実装すれば良いのだろうか。
「強調スニペット」などの一部のリッチリザルトは、検索結果での表示を自身で設定はできないが、その他多くの種類のリッチリザルトは、「構造化データ」をサイト内にマークアップすることにより、自身で表示されやすいよう設定できる。
構造化データとは
構造化データとは何か、についてはこちらの用語集で紹介している。
構造化データとは、検索エンジンにページの内容やページの意図を提供するためのデータ形式である。
https://www.bloomstreet.jp/glossary/structured-data/
ページに構造化データを含めて、ページの内容についての明白な判断材料を提供すると、Google がそのページをより正確に理解でき、検索結果にリッチ表示されやすくなる。
構造化データを設定できないもの
構造化データで制御できない種類のリッチリザルトもいくつか存在する。代表的なものは「強調スニペット」と「サイトリンク」である。
強調スニペットの設定について、Googleはこう述べている
ご自分のページを強調スニペットとして設定することはできません。ユーザーの検索リクエストに対して、ページの内容が強調スニペットにふさわしいと Google のシステムが判断すれば、上位に表示されます。
https://developers.google.com/search/docs/advanced/appearance/featured-snippets
いっぽう、その他ほとんどのリッチリザルトは構造化データに対応している。
構造化データの3つの形式
検索エンジンには下記3つの構造化データ形式がサポートされている。
Googleが推奨していることから、JSON-LD構造化データで記述することが最も一般的である。
JSON-LD(Google推奨)
JSONの文法に沿ってスクリプトを記述する方法。
コンピュータが最も読み取りやすい形式である。
microdata
HTML内に直接マークアップする方法。
HTML5でのみマークアップ可能で、W3Cの勧告は2013年10月で止まっている。
RDFa(W3C推奨)
HTMLコードの該当箇所付近に構造化データを記述る方法。
HTML5以外のHTMLのバージョンでも使用できる。
JSON-LD構造化データの実装方法
JSON-LD構造化データの詳細な記述方法はデータの種類により異なるが、どれもHTML内にscriptとして挿入する。
上で例を挙げた「動画」の場合は、下記ようのにVideoObject構造化データを記述し、HTMLのhead内に挿入する。
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": "VideoObject",
"name": "動画タイトル",
"description": "動画の説明",
"thumbnailUrl": [
"サムネイル画像のパス",
"サムネイル画像のパス",
"サムネイル画像のパス"
],
"uploadDate": "アップロード日時",
"duration": "再生時間",
"contentUrl": "動画ファイルのパス",
"embedUrl": "ページURL",
"interactionStatistic": {
"@type": "InteractionCounter",
"interactionType": { "@type": "http://schema.org/WatchAction" }
},
"regionsAllowed": "地域"
}
</script>
WordPressサイトの場合は、プラグインを使用してJSON-LD構造化データを自動挿入することもできる。
ページに正しい構造化データを追記したうえで、Googleが公開するガイドラインを遵守し、Google がページを適切にインデックス登録できるように設定することで、リッチリザルトとして表示される可能性が高まる。
大前提としてユーザーに評価されるコンテンツが準備出来ている事も必要だ。
2021年のSEO対策
このように、Googleが検索結果の表示形式を日々改善していることから、我々マーケティング担当者も上位表示を目指すSEO対策だけでは十分ではない。
これからは上位表示の露出の拡大と検索意図の正確な分析を行うことで、Googleにもユーザーにも評価される記事の企画と制作がより一層求められて来ている。