海外送金 「受取手数料」の比較 個人/法人対応
2022年から進行した円安を受け、外貨を稼いで海外から送金を受け取る機会が増えた方もいるかもしれない。その際、日本円に変換をせずに外貨のまま受け取るには外貨預金口座が必要だ。外貨受取時には、手数料無料の銀行もあれば手数料が引かれる銀行も存在する。
本記事では、オンラインで手続きが完結できる銀行に絞り、海外送金を受け取る際の手数料を4社比較した。また、将来的に円に変換する時に発生する為替コストも合わせて総合的に比較することで、最終的にどの銀行が自分に合っているのか検討する材料にして欲しい。
本記事を読んでいただきたい読者
- 個人や法人で海外の取引先から外貨の入金がある
- 海外転勤や留学の予定があり、外貨建ての口座が欲しい
- 海外からの小口入金が定期的に発生する
- 外貨預金を検討している
海外送金の受取手数料4社 比較表
まず、海外送金を受け取るためには、日本円で使用している普通預金口座とは別の外貨普通預金口座の開設が必要である。
- 日本円預金口座における海外送金の受取対応の可否
- 海外送金の受取手数料
- 外貨預金口座の開設の手順
- 海外送金の受取の手順
住信SBIネット銀行 | ソニー銀行 | 楽天銀行 | Wise | |
---|---|---|---|---|
外貨預金口座 | 個人・法人 | 個人のみ | 個人・法人 | 個人・法人 |
受取手数料 | 50,000通貨未満は25通貨 + 中継銀行手数料(リフティングチャージ) |
無料 | 個人:2,450円 法人:2,000円 + 中継銀行手数料(リフティングチャージ) |
無料 |
外貨預金口座開設 | 管理画面で同意し開設 | 管理画面で同意し開設 | 管理画面で同意し開設 | 個人:開設と同時に付与 法人:3,000円で開設 |
住信SBIネット銀行
対象:個人・法人
受取手数料:受取金額による
住信SBIネット銀行の海外送金受取手数料
個人、法人ともに外貨預金の口座を開設することが出来る。肝心の外貨の受取手数料は、1回の送金の入金額が50,000通貨未満の場合は25通貨かかる。50,000通貨以上の場合の手数料は無料になる。これがHPで記載されている説明だ。しかし、実際に外貨で資金移動を行った結果、中継銀行手数料(リフティングチャージ)が25通貨引かれ、合計50通貨もの受取手数料が発生した。顧客視点では、50,000通貨未満であれば50通貨かかると考えておいた方が良い。
例えば、1,000米ドルの送金があった場合、実際の入金額は$950($1,000-$50)となる。
住信SBネット銀行の外貨預金口座開設の手順
普通口座を開設し、外貨預金に伴うリスクについて記載された項目に同意をすれば追加書類等なく開設が可能だ。
住信SBIネット銀行の送金受取手順
個人、法人によって変動すると思われるが、弊社の実験結果を記載しておこう。
- 送金手続き後、「外貨送金お受取りに伴うお手続きのお願い」のメールが24時間以内に到着
- 資金使途についての受取意思の表示、受取目的を記載
- 受取目的の確認後、72時間以内に「外貨送金入金のご案内」のメールが到着し、着金を確認
土日を含めて合計4日間で全ての手続きが完了した。
出所:住信SBIネット銀行への外貨送金受取サービス
ソニー銀行
対象:個人のみ
受取手数料:無料
ソニー銀行の海外送金受取手数料
ソニー銀行は、何と言っても手数料が0円で外貨をそのまま受け取れることが魅力である。ただし、口座は個人に限られ、法人には対応していない。
ソニー銀行の外貨預金口座開設手順
ログイン後の取引画面より外貨普通預金口座の開設が可能だ。
ソニー銀行の海外送金受け取り手順
こちらも実証実験を行った結果を記載しておきたい。結論、送金を受け取る際の手数料は本当に0円だった。
- 送金手続き完了後、24時間以内に「外貨普通預金口座開設とお受け取り手続きが必要です(被仕向け送金)」というメールがソニー銀行から到着
- 資金使途についての受取意思の表示、受取目的を記載
- 24時間以内に「入金完了のお知らせ(被仕向け送金)」というメールが到着し、着金を確認
平日だったこともあるのか、手続きは合計48時間以内に完了した。
出所:ソニー銀行への外貨送金
楽天銀行
対象:個人、法人
受取手数料:2,450円(個人)、2,000円(法人)
楽天銀行の海外送金受取手数料
楽天銀行は、個人と法人によって受取手数料が異なる。
個人なら2,450円、法人なら2,000円である。
楽天銀行の外貨預金口座開設手順
ログイン後、外貨預金取引に関する確認書への同意し、開設。
楽天銀行の海外送金受取手順
こちらは実証実験を行うことが出来なかった。住信SBIネット銀行同様、受取手数料が楽天銀行と中継銀行から引かれるため、4,500円〜5,000円程度かかると予測できる。
- 通知メールにて送金到着
- 楽天銀行口座にログイン
- 受取手続き(ログイン後、「海外送金・外貨送金の受取」をクリック)
- 受取手続き完了
想定所要時間:送金日+1営業日~5営業日程度
楽天銀行の日本から海外の送金の手数料はこちらで解説している。
Wise
対象:個人、法人
受取手数料:無料
Wiseの海外送金受取手数料
無料だ。
Wiseの外貨預金開設手順
Wiseは銀行ではないが、外貨預金口座に相当する「マルチカレンシー口座」を持つことが可能だ。個人なら口座開設後、同時に口座情報を取得できる。法人の場合は、3,000円の手数料を一度だけ支払うことが必要である。
Wiseの海外送金受取手順
受取手順:着金時にメール通知があり、承認手続きは不要
所要日数:1日〜3日
Wiseは、入金が速く、受取時には承認手続きもないため、工数なく着金している点が魅力である。ソニー銀行と同様に受取手数料が存在しない。唯一の課題は、Wiseは銀行ではないため1ヶ月に口座に保有できる金額が100万円以下と定められている点だ。100万円以上存在する場合は、別の銀行口座に送金をする必要がある。
Wiseの日本から海外の送金の手数料はこちらで解説している。
外貨から円に替える為替コスト(両替手数料)の比較
外貨を将来的に日本円に替える際に発生するのが為替コスト、両替手数料とも言われる費用だ。4社を比較すると、受取手数料が最も高かった住信SBIネット銀行の為替コストが最も安く(米ドルの場合)、受取手数料が無料だったWiseの為替コストが最も高いことがわかる。つまり、住信SBIネット銀行や楽天銀行は送金の手数料で、Wiseは両替手数料で稼いでいることがわかる。ソニー銀行は、その中間に位置している。
住信SBIネット銀行 | ソニー銀行 | 楽天銀行 | Wise | |
---|---|---|---|---|
米ドル | 6銭 0.06円 0.06% |
15銭から4銭 0.15円 0.15% |
25銭 0.25円 0.25% |
50銭 0.5% 0.50% |
ユーロ | 14銭 | 15銭から4銭 | 25銭 | 0.5% |
10,000ドルの場合の両替コスト | 600円 | 1,500円から400円 | 2,500円 | 5,000円 |
まとめ
本記事を書く前、海外送金受取にかかるコストは、各社HPで記載されている説明だけでは確信が持てなかった。実際に資金移動をすることで、発生コストや日数が明確になったので、収穫はあった。
将来的に日本円への両替を視野に入れたうえで、外貨を受け取るベストな銀行は「海外送金手数料と受取額の結果を比較」で書いたようにWise一択という訳には行かなかった。
法人格での受取がメインであれば、住信SBIネット銀行、個人ならソニー銀行がおすすめだ。もし海外へ送金する機会が頻繁にある場合は、Wiseを使って送金コストを