海外SEO対策のキーワード選びでPVを劇的に改善できる3つの盲点
インターネットが商用化されて20年以上の歳月を経たが、現実の世界は、言葉や異文化というソフトのバリアーによって確固たる国境が存在し、異国間同士のビジネスの参入障壁はまだまだ高い。少子化、高齢化が進む日本は、日本にいながら海外とのパイプを構築するための基本的施策として、海外SEO検索対策は不可欠だ。本記事では、日本企業が海外ウェブ戦略で見落としている課題について、3つに絞り解説しよう。
盲点1:日本語を基準に海外SEOのキーワード選定を行う
日本人が検索するキーワードとアメリカ人が検索するキーワードには文化の違いが色濃く反映されていることを2つの資料を根拠に紹介したい。まず下の図に示される❶〜❸の3つの物体を見て欲しい。❶と同じグループに所属するのは、❷、❸、どちらかを選ぶならあなたはどう答えるだろうか。
結論から述べると、西洋人は❷と回答し東洋人は❸と回答する人が多かった。西洋人は、❶と❷の共通点を「形」とみなし、色は共通の要素にはならないとしたことが理由である。一方、東洋人は、「形」よりも「素材」に注目した。あなたはどちらと答えるだろうか?
出所:EBS (韓国教育放送)
西洋人は形を重視
東洋人(アジア人)は素材を重視
もしあなたがアメリカで勝負するなら、キーワード調査に加え、異文化理解が必要となる。Google翻訳で単語の翻訳精度が向上しても、文化を翻訳することは今でも出来ないからだ。では西洋人と東洋人の検索文化の違いを日本語と英語の検索キーワードの実際のデータを使って検証したい。
例えば、インターネットで靴を探すとしよう。日本語で検索する時に最も検索されているキーワードの月間検索回数の上位20位を列挙した。
日本国内で日本語キーワードで検索
上の検索キーワードから読み取れるのは、商品そのものを検索するよりも「通販」や「値段」など商品に関する付帯情報で大まかに検索していることがわかる。
一方、アメリカで靴を探している検索キーワード上位20位を列挙すると月間検索回数の上位10位が靴の形状やデザインで検索されていることがわかる。
アメリカ国内で英語で検索
日本語と英語の検索キーワードの異なる習慣
日本は素材で検索するユーザーが37%、通販サイトが24.4%、一般的なキーワード検索が23%であるのに対し、アメリカでは具体的なシューズの形状で検索している人が過半数を占めている。
日本人やアメリカ人が検索する時に、対象物を見ているのか、実質、実体を見ているのかという文化的な違いは検索キーワードにも影響を及ぼしているということを示している。あなたが扱っている商材は、どこまで具体的に表記し、対策出来ているだろうか。
盲点2:海外市場でのブランド名称・サービス名称のキーワードを定めていない
もしアメリカに進出するなら、アメリカ向けのブランド名は日本語ではなくアルファベット表記で検討するだろう。無印良品は、「MUJI」として2007年に、ユニクロは「UNIQLO」として2012年にアメリカに進出している。では、アジア近隣諸国へ展開する際には自社ブランド名をどのように定めたら良いだろうか。グローバルに展開しているスターバックスの事例を各国の検索回数から認知度を検証したい。
グローバルブランドの月間検索回数比較(地域別)
地域 | オリジナルブランド名称(月間検索回数) | 母国語(月間検索回数) |
---|---|---|
日本 | STARBUCKS (49,500回/月) | スターバックス (300,815回/月) スタバ (8,117,840回/月) |
中国 | STARBUCKS (27,510回/月) | 星巴克 (243,270回/月) |
韓国 | STARBUCKS (14,800回/月) | 스타벅스 (90,500 回/月) |
日本では「STARBUCKS」で4万9,500回(Google検索)、「スターバックス」で30万回、「スタバ」においては800万回も検索され、圧倒的な市民権を得ているのは、「スターバックス」であり「スタバ」ということになる。中国では、簡体字の「星巴克」が24万回(百度検索)、韓国では「스타벅스」(NAVER検索)が9万回と、アルファベット表記を圧倒的に上回っていることがわかる。アルファベット表記のブランド名は、母国語の発音と一致するように表記されるため、どのような名称になるか定着度も検討したうえで事前に準備しておく必要があるだろう。
ちなみに、中国のユニクロは「UNIQLO」「優衣庫」として、無印良品は「MUJI」「无印良品」としてそれぞれ商標登録されている。
盲点3:Googleに対応すれば海外SEO対策は十分、と楽観する
海外向けウェブサイトの運用では、日本語ウェブサイトの常識が通用しない。例えば、中国語の名称、韓国語のブランド名称を定めたとしても、多言語化されたあなたのサイトは検索結果に表示されない可能性すらあるのだ。
世界で使われる4つの検索エンジン、Google、百度、NAVER、Yandexの「ビッグフォー」は、自前の検索データを他社と共有しないため、原則として、ウェブ管理者は各検索エンジンに自社のウェブサイト情報を登録する必要がある。Googleは自動的にウェブサイトをインデックスしてくれるが、中国語サイト、韓国語サイト、ロシア語サイトは、それぞれ検索エンジンに「公開しましたよ」と申請しなければならない。
数千万円を投じた立派な多言語ウェブサイトであっても、海外ユーザーからほとんど閲覧されず、海外SEO対策に失敗しているケースをこれまで多く見てきた。一般的に日本企業の海外向けサイトは、日本語サイトの多言語化になっているケースが多いため、1つのサイト(ドメイン)に様々な言語が混在している。すると、数多ある中国語サイト、あるいは韓国語サイトと比較して、サイト内でのボリュームが相対的に下がるため、クローラーと呼ばれる検索ロボットに素通りされてしまうのだ。実際、百度の検索エンジンのクローリングロボット、「バイドゥスパイダー」がバージョン3.0にアップデートされた際、情報量の少ないサイトのインデックス率は62%に大幅に下落したという報告も出ている。
以下の4つのスクリーンショットは各主要検索エンジンがウェブ管理者向けに提供している管理ツールである。ここでインデックスを促進させる作業が必要となる。
Googleサーチコンソール(ウェブ管理者からGoogleへ通知)
百度ウェブマスターツール(ウェブ管理者から百度へ通知)
NAVERウェブマスターツール(ウェブ管理者からNAVERへ通知)
Yandex ウェブマスター(ウェブ管理者からYandexへ通知)
百度とNAVERのウェブマスター管理画面は中国語と韓国語しか存在しないため、言語がわからないと登録すら苦労してしまうだろう。もし日本人のウェブ管理者が各国のネイティブスピーカーに作業を依頼するならば、まず検索エンジンの仕組みをしっかりと伝える必要がある。ウェブの知識がない日本人スタッフにGoogleでの登録作業を依頼しても難しいように、各言語が話せる中国人、韓国人であっても手順を追って説明しなければならない。
まとめ
1点目に、検索するユーザーの国、言語によって検索キーワードがどのように影響を及ぼすのか、ネイティブに依頼する際でも要件を決めすぎないことが肝心だ。
2点目は、自社ブランド、会社名を現地の言葉の発音でどのように表記されるのか想定しよう。英語表記でグローバル展開をしても、実際には発音文字で表記されるため、現地語のウェブサイトの表記、および商標登録にも留意する必要がある。
3点目は、ウェブマーケティング対象国が、中国、韓国、ロシアに該当する場合、各国で最も使われている検索エンジンの管理者向けツールを通してあなたのウェブサイトの存在を告知する必要があるということだ。